専門医制度機構の地域枠医師の取り扱いと専門医の認定についてを受けて声明
一般社団法人日本専門医機構より、2023年10月23日に発表された「専門研修制度における地域枠医師の取扱いと専門医の認定について」を受けて、社会医学系専門医協会は以下の声明を行う。
社会医学系専門医協会はこの声明の趣旨に賛同する。
社会医学系専門医協会が掲げている社会医学系専門医の使命は、医師としての使命感、倫理性、人権尊重の意識、公共への責任感を持ち、医学を基盤として保健・医療・福祉サービス、環境リスク管理および社会システムに関する広範囲の専門的知識・技術・能力を駆使し、人々の命と健康を守ることである。 都道府県もしくは当該大学との間の不同意のままの地域枠医師の従事要件から離脱して専門研修を開始し終了する,いわゆる「不同意離脱」を行った医師に対しては、前述の「医師としての使命感、倫理性」および「公共への責任感」が欠如しているといわざるを得ない。よって、社会医学系専門医認定に当たってはその点を考慮せざるを得ないと考える。
2024年2月19日
社会医学系専門医協会
(参考資料)
地域枠および従事要件のある専攻医の取扱いについて(日本専門医制度機構 2023年10月23日)
地域枠で入学した医師の地域医療に対する貢献は極めて高く評価されており、今後も地域医療の発展のためになくてはならないものであることは各方面の一致した見解である。
したがって、地域枠出身者の地域定着は地域医療としても重要な課題になっていることは、地域医療を担う大学・医師会・自治体などが積極的に考えていくべきものと思われる。
一方で、都道府県もしくは当該大学との間の不同意のままの地域枠医師の従事要件からの離脱が問題となっている。しかし、最近の調査では離脱率も極めて低くなっていることが確認されている。都道府県もしくは大学の努力によるものと敬意を表する。しかし、少数ながら不同意のまま従事要件から離脱する専攻医が存在することも事実である。プログラム統括責任者におかれては、地域枠の医師の専門研修プログラムについて、十分に地域医療を担う大学・医師会・自治体との協議の上、従事要件に適合しかつ充実したプログラムの作成をお願いしたい。
問題は不同意のまま従事要件から離脱して専門研修を開始し終了した場合に、それを「専門医として認めない」として過去に掲載した本機構のホームページ上の文言である。本来は、その前の時点で、プログラムの修正などを求めるとしたものが、“認定しない”と読み取られかねないことに問題が生じた。
そこで、不同意離脱に対する本機構の態度を再度検討し、以下のように訂正する。
1, 本案件はあくまで都道府県もしくは大学と専攻医の間の“取り決め”であることから、当事者同士で十分な検討がなされるべきものと考えられる。
2, 日本専門医機構は専攻医の専門研修の充実を図るべくプログラム統括責任者に依頼する立場である。
3, 当事者同士の協議で合意できなかった場合は、日本専門医機構は当該都道府県もしくは大学とともにプログラム統括責任者にプログラムの再考を促す。
4, 日本専門医機構は、都道府県もしくは大学から不同意のままのプログラムであるという指摘があった場合は、都道府県もしくはプログラム統括責任者と専攻医の間で解決できるよう橋渡しをする努力をする。
5, プログラムが進行した後でも、都道府県もしくは大学から不同意のままのプログラムであるという指摘があった場合には、日本専門医機構は専攻医が不利にならないよう改めて関係者間(都道府県、大学、基幹施設、プログラム統括責任者、専攻医当事者)による協議の場を設ける。
6, 日本専門医機構は、専攻医が、こうした協議による解決策に応じることを期待するものである。しかし、解決が得られず、不同意のまま離脱した場合は、専攻医はその医療機関プログラムの研修は専門研修とは認められず、専攻医を採用した医療機関は、次年度の採用定員を減ずる。
なお、産業医科大学などを卒業し従事要件の課せられている専攻医についても、上記に準じて対応するところである。
1,~ 5,については本紙公表時点から、6,については 2024 年度専攻医採用及び本紙公表以降のプログラム等の異動※から適用するものとする。
(※)既に専門研修プログラム等に参加している専攻医が、別のプログラム等に異動すること。
以上